作業療法士になった理由
祖母がリウマチになり、よくマッサージをしてあげていました。そんな経験もあり、中学では看護師を目指しました。高校では部活でむち打ちになり、初めてリハビリを体験。PT (理学療法)に出会いました。その後、リハビリにも理学療法(PT)、作業療法(OT)、言語療法(ST)があることを知りました。理学療法はイメージがついたので、「作業療法士になるには」という本を読んでみました。「作業」とは世間一般で言う作業とは違い、本来「アクティビティー」の訳です。手作業的なことから、木工、藤細工、陶芸、絵画、手芸など趣味活動的なものや農作業、乗馬などまで含む広範な活動になります。それらの作業を通してリハビリを進めていくというものでした。同じ疾患でもその人の性別、年齢、生育歴、趣味や生活スタイルによってリハビリのメニューも千差万別というところに惹かれて作業療法士になることを決めました。
痛みの緩和に向き合う理由
作業療法士になってから、ストレートネックと胸郭出口症候群による手の痺れ、2度の腰椎ヘルニア、腰部の捻挫(交通事故の後遺症)、坐骨神経痛、膝痛等、自分自身が様々な痛みに苦しみました。1度目の腰椎ヘルニアでは絶対安静と言われ、ベッドで寝てばかりでした。どちらを向いても痛いのですが、眠っているときは痛みを忘れることができるし、また、いくらでも眠れるのです。ところが良くなってくると、一定の時間以上は眠れないのです。風邪やインフルエンザの高熱の時など、皆さんもこのような経験があるのではないでしょうか。体が治癒にエネルギーを使っている間はたくさん眠れるのでしょう。
腰椎捻挫の後遺症では、痛くて横になってばかりいたら、家族から「何もしないから良くならないんだよ」と一言。痛みさえなくなれば動けるのに、と悔しく思いました。
反対に1番嬉しかったのは、指圧師に言われた「この痛みは辛いね。よく耐えてきたね。必ず良くなるからね」と言う共感と励ましの言葉でした。初めて人にこの痛みをわかってもらえたと言う嬉しさと、この人なら信頼できる。頑張って治療をしようと言う気持ちでした。そして痛みが和らいでいくとともに活動量、運動量も自然に増えました。この体験が私自身のリハビリの原点となっています。
辛い痛みをわかってほしい。この痛みをどうにかしてほしい。痛みさえなければ…。これらの思いは非常に切実なのです。さて皆さんはこの思いに真摯に向き合っていますか?痛みの緩和に目を向けていますか?
痛みの原因はなんですか?
筋肉や腱の軟部組織の損傷ですか?神経の損傷ですか?それとも骨折ですか?
痛む原因がある時は痛くて当然です。ところが痛みの原因が治ったのに痛みだけが続いている。これが問題なのです。