痛みとは「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「それ以外の痛み(心因性疼痛と言われていた)」に分けられます。痛みのなかでも、まずは「侵害受容性疼痛」についてみていきましょう。
侵害受容性疼痛
切り傷、火傷、打撲、骨折などの怪我をするとその部分に痛みを起こす物質が発生します。この物質が末梢神経にある「侵害受容器」という部分を刺激することで痛みを感じるため「侵害受容性疼痛」とよばれています。
痛みの種類によって治癒の期間も変わってきます。痛みの緩和を考える上で、まずは痛みについて理解していきましょう。
発生部位による痛みの分類
体性痛、中枢痛、内臓痛に分けられますが、ここではリハビリで主に関わることができる体性痛についてみていきます。
体性痛
【表在痛】
皮膚や粘膜…治癒期間1〜2週間
【深部痛】
靭帯・関節嚢…治癒期間軽症2ヶ月〜重症6ヶ月
腱…治癒期間症2ヶ月
筋膜・筋…治癒期間軽症2、3週〜重症6ヶ月
骨膜(骨折)… 治癒期間2〜6ヶ月
あなたの痛みはどれでしたか?
今現在、治癒期間のどの時期にいますか?その時期に合わせた対応が必要です。
あなたが作業療法士(OT)、セラピストの場合はリハビリの際、患者さん、利用者さんへ痛みの説明をする必要があります。不安を軽減し、今は無理をさせないことで二次的な障害の予防につながります。
痛みの時期に合わせた適切な対応(RICE)
では具体的にどのような対応をとればいいのでしょうか。応急処置のRICEの法則に対応して考えていきましょう。
①Rest:安静…いつまで安静にすればいいの?
安静時に痛みがあることを安静時痛といいます。安静時痛のある間は患部を安静に保ちます。但し日常生活を送る上で動いても差し支えのない場合は動いてかまいません。例えば前腕の骨折で、骨折している腕を動かさずにすむ動作を行う場合がこれに当たります。足部の骨折で立ったり歩くと痛い場合は、なるべく車椅子を使う、どうしても歩く場合は骨折部位を固定した上で杖を使うなどの対策が必要です。
作業療法士(OT)やセラピストは安静時痛がなくなったら運動時痛を確認します。どの程度の動きで痛みが出るのか、通常の日常生活を送れるのか。痛みの出ない範囲で動くことをお勧めします。どこまでやっていいのか判断してアドバイスしましょう。日常生活を普通に送れるようになったら負荷のある運動を開始しましょう。
痛みがあるのに適切な安静を実施しないと、痛みが長引きリハビリは進まなくなります。「急がば回れ」です!
②Ice:アイシング(冷やす)…熱をもっている間は冷やしましょう。
③Compression:圧迫…主に出血の時に出血がとまるまで圧迫します。
④Elevation:挙上…出血の時に挙上することで、止血しやすくなります。
痛みの原因部位に対して、安静・アイシング・固定・ポジショニング・運動の制限などを行い、「無理をして動き、痛みが強まる」ことを防ぎます。リハビリでは、怪我した箇所に負担がかからない動き方を教えてあげましょう。
痛みの緩和のためには、怪我した箇所だけでなく、その他の身体の状態もみていかなくてはなりません。受傷時の体のこわばりが続く、痛くて力が入ってしまう、痛い箇所をかばって動き他の部位に負担がかかる、など二次的な血行不良や筋緊張亢進がみられます。
患部の安静が必要な間は、全身の筋緊張緩和・血行促進を図り、患部の治癒を早めていきましょう。(炎症症状がある間は血行促進は控えます)
痛みが長引く場合
捻挫や打撲なら適切なアイシングや安静により2〜3日すれば痛みも大分やわらいできます。骨折や筋断裂、腱断裂など手術やギブス固定など適切な処置を行い、適切な安静で対応すれば2〜3週間で痛みも大分やわらいできます。ところがいつまでも痛みが変わらない、強まる、痛みの範囲が広がるなどの場合は対応に問題があります。この時点で対応を今一度考えてみましょう。